さて
最近 大阪で深夜に二人組の男性が店のオブジェを壊した事件がありました
ネットニュースでも取り上げられましたので、犯行現場の防犯カメラの映像を目にした方も多いと思います
防犯カメラには、赤シャツ男性と黒シャツ男性の二人が オブジェの前まで来て、赤シャツ男性の方がオブジェを蹴り上げ 引き倒す様子が映っています
男性らの顔はボカシがかかっていますが、元の画像を見れば顔も鮮明に写っていると思われます
大阪の繁華街にはあちこちに防犯カメラが設置されているはずで
いわば衆人監視のなか 分かりやすいやり方で ようオブジェを壊す気になりましたネ
さすがに
本人たちもすぐに観念して、被害者に謝罪し 被害弁償もしたことで
事なきにいたったようです
でも
被害者が許さずに告訴したら、どうなったでしょうか?
物を壊したら器物損壊罪という犯罪になります
それとは別に、民事事件として損害賠償を求められるかもしれません
もっとも、二人とも初犯で、被害弁償までしているなら、刑事裁判にはならない(起訴猶予の処分)でしょうし、裁判となっても確実に執行猶予となります
既に修繕費を償っているのであれば、被害者がそれを超えた損害があるとして請求しても、裁判所はなかなか認めないでしょうネ
では
仮に、黒シャツ男性が
「オレは、赤シャツ男性がオブジェを壊すのを見ていただけで、オブジェに触れてもいない、悪いのは赤シャツ男性で、オレは全く関係ない」と弁解したら、どうでしょう
ソウダネ、キミは 関係ないネ、無罪放免!
となるのでしょうか?
犯罪に複数人がかかわっているような場合
それぞれに、はたして犯罪が成立するのか、どの様な犯罪が成立するのか
難しい問題です
例えば
本件で、二人が共にオブジェに手をかけて引き倒したなら 二人とも器物損壊罪の主犯(共同正犯といいます)になるのは間違いありません
それでは
赤シャツ男性が引き倒すのを、たまたま通りかかった黒シャツ男性が、立ち止まって見ていただけなら(ヤメロと忠告しなくても)、黒シャツ男性は、赤シャツ男性と共に犯罪をしたとは言えないでしょう
では
黒シャツ男性は、赤シャツ男性の親しい友人で、この日も二人で飲みに行った帰り、赤シャツ男性が酔ったいきおいでオブジェを倒し始めたけれど、黒シャツ男性は、それを止めないで横で見ていただけなら、どうでしょう
こうなると、すぐに結論はでませんね
この場合でも いろんな Stuation があります
まず
二人は仲が良かったとしても、赤シャツ男性は、以前から粗暴なところはなかったのに、当日、突然、オブジェを引き倒し始めたため、黒シャツ男性は、ビックリして止める間もなかった、というのであれば、
黒シャツ男性を罪に問うことは、できないでしょう
ところが
赤シャツ男性が、酔ったいきおいでオブジェを引き倒し始めたのをみて、黒シャツ男性は、面白がって、横で赤シャツ男性の様子をスマホで撮り始めた との事情が加わると
結論が変わります
なぜなら
黒シャツ男性がスマホで撮とっていることに赤シャツ男性が気を良くして
いっそう力を入れたため、オブジェが倒れたなら
黒シャツ男性が 赤シャツ男性に 態度で支持し声援を送ったことでオブジェが壊れたといえます
そうなると、黒シャツ男性は、オブジェに直接手をかけていなくても、一緒に手をかけて壊したと同じだと(共同正犯といいます)評価される可能性があります
少なくとも
直接手をかけたとまではいえなくても、赤シャツ男性が倒すのを手助けしたとして器物損壊罪の幇助犯(ほうじょはん)に問われることは
覚悟する必要があります
以上の検討から
親しい仲間が違法なことをはじめたら、面白がって チョウシをあわせて スマホで撮影なんかしないで、すぐさまヤメロと忠告し 引き止めないと
共犯になるかもしれないヨ
との結論が導かれました